視覚誘発電位は文字通り、視覚的な外部刺激を受けることによって誘発される電位(=脳波)のことです。 私たちは目を開けていれば常に何かしらの視覚刺激にさらされていることになります(真っ暗な部屋でなければ)。 脳からすれば、目に映るすべての光は外部刺激といえるわけです。 その外部刺激に私たちの脳は反応しています。 それが視覚誘発電位といった形で表れるのです。 ちなみに、刺激の提示頻度が高くなると定常状態視覚誘発電位となります。
視覚誘発電位は数ある誘発脳波の中でも、工学的応用(BCI)や病理検査に最もよく使われます。
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視覚誘発電位は後頭部にある視覚野で発生します。 刺激の特徴に対して、固有のニューロンが発火(スパイク)し、複数のそれらが同期することで、 視覚誘発電位は発生します。
視覚誘発電位の最も特徴的な成分はP100と呼ばれるピークです。 PはPositiveの頭文字でありプラスの電位という意味です。 100は刺激提示後100msに生じるという意味です。 しかし、この100ms後にプラスの電位が生じることの本質的な意味は解明されていません。 なぜマイナスではないのか?なぜ100msなのか?ということはまだわかっていないのです。 当然、100msという時間は被験者の年齢などによってばらつきがあります。
視覚誘発電位の検査では一般的には、パターンリバーサル刺激やフラッシュ刺激といったものを 画面上に映し出します。 プロジェクターによる投影、CRTディスプレイ、デジタルディスプレイなどの機器は基本的には何であっても構いません。 被験者は、椅子に座って画面を眺めます。 このときに、被験者がリラックスした体勢を維持できることが重要です。 無理な体勢にすることで筋電などのアーチファクトが生じると検査はうまくいきません。 この際に、被験者の体調には十分に注意します。 そして、刺激を複数回提示して、それらを加算平均をすることで視覚誘発電位の解析を行います。
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