事象関連電位(ERP)とは、何らかの事象に関連して生じる脳波のことです。 誘発電位(EP)と同じものと捉えられることもできます。 しかし、一般に、誘発電位は視覚誘発電位や聴覚誘発電位などのように、 被験者の精神活動には関係なく生じる脳波を指すことが多く、 事象関連電位は、精神活動に関係のあるものを指すことが多いです。 事象関連電位を代表するものとして、オドボール課題によるP300やCNVなどがあげられます。
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脳科学や心理物理学の実験でしばしば用いられるオドボール課題について説明します。
@ 被験者に2種類の刺激をランダムな順で提示します。
このとき、片方の刺激が高頻度で提示され、もう片方の刺激は低頻度で提示されます。
A 被験者は提示頻度の低い刺激が提示された回数を心の中で数えます。
このときの脳波を測定して低頻度の刺激が提示された時刻をトリガとして加算平均します。
こうして得られる潜時300msにピークをもつ緩やかな脳波をP300といいます。
P300の振幅は刺激の提示頻度が低いほど大きくなることが知られています。
また、被験者がどれだけ真剣に実験に臨んでいるのかという姿勢もP300の振幅に影響を与えます。
このように、被験者の態度によって得られる波形が大きく異なるというのが、
視覚誘発電位などとの違いでしょう。
ちなみに、P300の発生原因は詳しくは解明されていませんが、 BCIへの工学的応用が進んでおり、すでに商品化もされています。
CNVは集中や期待に関連して生じる事象関連電位です。 刺激が提示されたら何らかの行動をする課題(ボタン押しなど)を被験者に与えた場合、 被験者は「そろそろくるかな・・・」と刺激がくるのを待ちます。 このとき、 被験者の脳波は陰性に大きく振れるのです。 これがCNVです。 被験者が予測できるようにするため、刺激を一定間隔で提示して、 刺激の提示時刻で脳波を加算平均するとCNVをみることができます。 しかし、解析上、CNVが表れると不都合なことがあります(他の脳波が埋もれてしまうなど)。 その場合は、刺激の提示間隔をランダムにすることで、被験者が刺激を予測できないようにします。 P300と同様に、CNVも実験に臨む被験者の態度に大きく影響を受けます。
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