脳磁図は、脳内に発生した電流がつくる磁場を検出する手法です。 一方、脳波は脳内の発生した電流がつくる電位を検出しているので、 脳磁図と脳波は本質的に同じのものを測定しています。
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脳内で発生した微弱な電流は、右ねじ方向に磁場を作ります。 この磁場を頭皮上に設置したSQUID(超伝導量子干渉素子)というセンサーを使って感知します。 SQUIDには超電導が使用されており、微弱な磁場も検出することができるのです。
脳磁図の長所として、時間分解能と空間分解能が高いことが挙げられます。 一方、脳波は時間分解能こそ高いものの、空間分解能はあまり高くありません。 これは、磁場がベクトルであるのに対して、電位はスカラーであるからです。 ベクトルは大きさと方向の情報を持ちますが、電位は大きさの情報しか持ちません。 これが、脳磁図と脳波で空間分解能が違う要因です。 ちなみに、方向(x,y,z)の情報を捉えるために脳磁図はチャネル数も多く設定されます。
脳磁図の短所は、測定したデータをもとに活動源を推定するために逆問題を解かなければならないことにあります。 逆問題は、それを専門に研究している人がいるほどに深く難しい学問です。 いくら良いデータが取れたとしても、正確に逆問題を解くことができなければ、活動源の推定はできません。
装置としての脳磁図の短所は、そのコストの高さをあげることができます。 脳波の装置が数万〜数百万円程度であるのに対して、脳磁図の装置は数億円です。 また、装置の一部に超伝導体を使用するために、液体ヘリウムなどの冷却用の物質が必要となるため、 ランニングコストもばかにはなりません。 しかし、液体ヘリウムを循環させて使用するタイプの装置も発売されているため、 それを使用すればランニングコストは抑えることができるでしょう。
脳磁図は脳波に比べて空間分解能に優れているのにもかかわらず、使用している研究者が少ないのは、 このような費用の問題にあります。 一方、脳波は安価であるために、脳科学や医学にとどまらず、 心理学やスポーツ関係の研究でも使用されています。
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